法 |
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一方、マイナスイオンのもつ殺菌性は、各社の実験結果によれば、微生物の増殖を防止で |
きる程度の静菌能力しかないと報告されており、処理を停止すると増殖抑制効果がたちまち |
消失し、殺菌剤としての使用には適さないと考えられていました。 |
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この両者を組合せることにより、両方の長短所を生かしあって、処理対象物を変質させずに |
殺菌効果を挙げる方法が開発され、最近のオゾン業界の注目を集めています。 |
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オゾンについては、高いレベルの解析が進み、殆んどの技術者に理解されていますが、マイ |
ナスイオンについては、実機に採用されはじめてから日も浅い為か、不明な点も多いので、 |
ごく常識的なことから説明させていただきます。 |
空気中でイオンを発生させる方法には、主に以下に示す6つの方法があります。 |
1.宇宙線、紫外線による空気の電離 |
2.地表の放射性物質からの放射線による電気の電離 |
3.大気中の放電現象による空気の電離 |
4.燃焼、灼熱物体表面の電離、熱電子放射 |
5.光電効果による光電子放射 |
6.水滴の分離に伴うレナード効果による空気の帯電 |
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イオン1 に対し、マイナスイオンが1.2の割合でした。 |
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現代の大気の状態は、プラスイオンが1.2に対しマイナスイオンが1 という割合に変り、近代 |
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文明が成熟した結果、主として電子機器の電磁波などの影響で100年の間にイオンバランス |
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が逆転してしまいました。 |
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最近の身近な環境に於ける平均的なマイナスイオンの量は下表の通りです。 |
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大気中のイオン密度分布
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スの電荷をもつ電子が奪われ、物質はさびていきます。 |
プラスサイドに傾きやすい環境をくいとめる方法を、一般的にスカベンジャーといい、マイナ |
スイオンの具体的効果については、谷村泰宏氏(三菱電機叶謦[技術研究所)の発表によ |
れば、人体に殆んど影響を与えない低濃度オゾンとマイナスイオンの組合せによって画期 |
的な殺菌が可能なことが判明したと報告しています。 |
これらの実験結果を下記しますので御一読下さい。 |
黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus (IFO 3060) に対する負イオンとオゾンの混合ガス |
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に対する影響を調べた。実験は温度20℃、湿度約90%の条件で3日間連続処理した。 |
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それぞれの殺菌率を比較すると、負イオンとオゾンを混合した場合の殺菌率は約94%となり、 |
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0.1ppmのオゾン処理とほぼ同程度の殺菌率(99%)となった。これは負イオン単独処理あ |
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るいはオゾン単独処理(0.05ppm)の殺菌率のほぼ10倍の殺菌率であり、負イオンとオゾン |
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を混合することにより、殺菌能力を増大できることが明らかになった。 |
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各処理における殺菌効果の比較
使用菌体:黄色ブドウ球菌(食中毒菌)
処理日数:3日間 処理温度:20℃ |
2) 混合ガスによる大腸菌の殺菌について | ||||||||||||||||||||||||
実験には大腸菌 Escehrichia coli K12(IFO 3301)を用い、温度20℃、湿度約90%の環境 |
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条件で5時間連続処理した。 |
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負イオン濃度106ions/cm3とオゾン濃度0.03ppmの混合ガス処理、負イオン濃度106ions/cm3 |
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の負イオン単独処理、及びオゾン濃度0.05ppmならびに0.1ppmのオゾン単独処理の殺菌効 |
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果の違いを比較したものである。(処理日数:2日間)。混合ガスでの殺菌率は100%となり、 |
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0.1ppmのオゾン処理と同じであった。この殺菌率は負イオン単独処理のほぼ1.7倍、 |
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0.05ppmのオゾン処理のほぼ7倍であることから、大腸菌に対しても負イオンとオゾンの混合 |
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ガスで処理することにより殺菌率を増大できることが明らかになった。 |
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大腸菌における殺菌効果の比較
使用菌体:大腸菌
処理日数:2日間 処理温度:20℃ |
に食品表面での微生物増殖を抑制できるので、冷蔵庫システムと組み合わせることにより新 |
しい食品保存システムとして利用できます。また、この新しい殺菌技術は、使用オゾン濃度が |
通常のオゾン殺菌よりも大巾に低くすることが可能で、人体に対しより安全な領域であるため、 |
活性酸素による危険を回避出来、特に抵抗力の少い方々の多い老人施設や病院などの院 |
内感染の予防や脱臭についても格段の効果が期待出来ます。 |
以 上 |
1) 食品と開発,32,5,24〜30(1997). |
2) 内藤茂三:日食工誌,38,4,133(1991). |
3) H.MITSUDA,et al.:Proc.Japan Acad.,66(B),4,68〜72(1990). |
4) 中島正巳:食品流通技術,20,6,26(1991). |
5) 太田幸治他:静電気学会誌,20,1,42〜48(1996). |
6) 谷村泰宏:冷凍,71,822,55〜61(1996). |
7) 谷村康宏他:防菌防黴,25,11,625〜631(1997). |
8) 原仁吾他:三菱電機技報,40,3,467〜472(1996). |
9) 武田進:気体放電の基礎,pp57〜63,東京電機大学出版局,東京(1990). |
10) 武田進:気体放電の基礎,pp45〜46,東京電機大学出版局,東京(1990). |
11) 静電気学会:静電気ハンドブック,pp316〜317,オーム社,東京(1992). |
12) B.Gravendeel,F.J.de Hoog: J.Phys. B: At. Mol. Phys., 20,6337(1987). |
13) T. OHMI:Microcontamination, 8,5,106(1990). |
14) 前園一郎:第1回日本オゾン協会年次研究講演会講演集,136〜139(1992). |
15) 谷村泰宏:殺菌−負イオンとオゾンの混合ガスによる食品の保存. |
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